でも、そのメリットの裏にはデメリットもあって、個人再生をすることで家族や会社へ影響が出ることもあるのよ。
家族や会社などへの具体的な影響が分かるから個人再生の手続きを進める前に要チェックよ。
目次
やめた方がいい?個人再生のデメリット3選
デメリット①:借金の総額に限度がある
個人再生は、借金の総額が住宅ローンを除いて5000万円以下でなければなりません。
5000万円という数字は引き直し計算をした後の金額です。
引き直し計算では、債権者とのこれまでの取り引きのすべてを利息制限法に基づいて計算し直し、借金の残高を改めて算出します。
利息や支払いが遅れたことによる遅延損害金も含まれるため、長期間返済を滞らせてしまい借金の総額が5000万円を超えたケースでは個人再生の手続きができないのです。
デメリット②:手続きにかかる期間が長い
個人再生は、他の債務整理の方法と比べて手続きに時間がかかります。
債務整理にかかる時間は、任意整理が3か月~6か月程、自己破産が6か月から1年程であるのに対し、個人再生は1年から1年6か月程です。
個人再生の時間がかかる理由としては、手続きが非常に複雑であり、申し立ての準備にも時間を要するからです。
さらに、申し立てた後も再生債権者から意見を聴いたり、必要に応じて個人再生委員と面談したりする必要があります。
そのため、裁判所から認可決定が出るまでの期間が長くなるのです。
デメリット③:弁護士費用が高額になりがち
個人再生を依頼すると、弁護士費用として40~50万円程度かかります。
さらに、住宅ローン特例を利用する場合はプラス10万円程度かかると考えたほうが良いでしょう。
住宅ローン特例とは、住宅ローンに加えて借金も抱えてしまったことで借金の返済が困難になった人に向けて、住宅を手放さずに債務整理する方法です。
特例を利用すれば自宅を手放さずに済みますが、代わりに弁護士費用は高額になってしまいます。
個人再生のリスク3選
リスク①:裁判所費用は返金されない
個人再生の手続きをするためには、裁判所と弁護士もしくは司法書士に手続き費用を支払う必要があります。
しかし、裁判所へ支払った手続き費用は、例え失敗したとしても返してもらえません。
そのため、借金が減らないどころか手続きの費用を余分に負担しただけになってしまうのです。
ですので、失敗した時の金銭的なリスクが心配な人は、依頼する前に費用体系について確認しておきましょう。
リスク②:返済額が上がる可能性がある
個人再生では、債権者の保護のために清算価値よりも多くの金額を返さなければならないという決まりがあります。
清算価値には住宅の価値も含まれるため、住宅の価値が高ければ清算価値も上がってしまいます。
特に注意しなければならないのは、住宅が原因で清算価値が上がることで『アンダーローン』の状態になることです。
例えば、住宅ローンの残りが1500万円で、住宅の価値が2000万円の場合、差額の500万円を支払わなければならないのです。
ですので、もし自宅を所有している人で個人再生を検討する場合は、自宅の価値がローンの残りを上回ってしまわないか調べるようにしましょう。
リスク③:借金が減額されない
個人再生に失敗してしまうと、借金は減額されません。
個人再生をする目的は、手続きをすることで借金を減らし、返済困難な状況を少しでも改善することです。
しかし、失敗してしまうと、その後も返済に悩まなければなりません。
また、失敗することで債権者からの取り立ても再開してしまいます。
通常では、弁護士や司法書士が手続きの依頼を受けると債権者に対して受任通知を送付し、債権者はその後の取り立てを禁止されます。
しかし、失敗して手続きが進まなくなると、取り立て行為も再開するのです。
個人再生をする時の注意点
注意点①:整理整理する債務を選べない
個人再生では、任意整理のように整理する債務を選べません。
債務を選べないことで何が問題かというと、保証人がいる場合と会社から借金をしている場合です。
保証人がいる場合、個人再生によって債務者が借金を減額されたとしても、保証人に対しては減額されないため支払い義務を負ったままとなります。
また、会社から借金をしている場合は、会社に個人再生をしたことがバレてしまいます。
なぜなら、個人再生の依頼を受けると弁護士や司法書士は債権者に対して受任通知を送付するからです。
会社から借金をしていれば、債権者である会社にも通知が送付されるため、このタイミングで個人再生をしたことがバレてしまうのです。
注意点②:再生計画案が通らないことがある
個人再生は、再生計画案を認めてもらったうえで、計画に沿って残りの借金を返済する方法です。
主に小規模個人再生と給与所得者等再生の2つの方法があり、基本的には小規模個人再生が行われます。
小規模個人再生では、今後どのように返済していくか再生計画案を立てたら再生債権者の意見を聴かなければなりません。
例えば、個人再生手続きの開始決定が出る前に金銭を貸し出したケースなどが当てはまります。
そして、もし再生債権者のうち半数以上が計画案に同意しなければ、計画案は通りません。
再生債権者に再生計画案を拒否されてしまうと、手続きはそこで終了してしまうのです。
まとめ
だから、必ずしも個人再生をやらない方がいいとはいえないし、個人再生にすべきか、それとも他の債務整理方法にすべきかは担当の弁護士や司法書士さんにしっかり相談した方がいいわ。
綿野コマ
法学部卒業後、司法書士事務所に4年間勤務。
司法書士補助者として法律に関わる業務経験を積んだ後にライターへ転身。
債務整理をはじめ、法律というあまり馴染みのないテーマの記事を「丁寧にわかりやすく」手がけている。
2級FP技能士の資格を取得済み。