でも安心して。任意整理はヤバいものではないから。
だからといって任意整理に全くデメリットがないかと言われると、そういうわけでもないのよね。
じゃあ今日は任意整理がヤバくない理由やデメリットについて解説するわね。
任意整理はヤバい?ヤバくない?
「任意整理をすれば借金を減らせる」と聞くと、あまりに上手い話で怪しく感じるのも無理ありません。
しかし、任意整理をしても心配するほどヤバいことは起きません。
その理由は、大きく2つあります。
- 家族や会社に知られない
- 財産を失わない
それでは、それぞれの理由について簡単に解説します。
ヤバくない理由①:家族や会社に知られない
まず任意整理がヤバくない一つ目の理由は、任意整理をしたことが家族や会社に知られることはない点です。
任意整理をしたからと言って、家族や会社に対して通知がいくことはありません。
むしろ、任意整理をせずにそのまま借金を滞納し続けると電話や郵便で督促が来て早く支払うように催促されるため、そのタイミングでバレる可能性が高いです。
ヤバくない理由②:財産(車や家など)を失うことがない
任意整理がヤバくない2つ目の理由は、財産を失わないことです。
任意整理では借金を大幅に減らすことはできませんが、その代わり少ないリスクで手続きができます。
そのため、そういった財産を持っている人に向いている方法といえます。
任意整理に隠されたデメリット5選
任意整理はヤバい手続きではないものの、デメリットがないわけではありません。
ここからはそのデメリットを5つご紹介します。
デメリット①:クレジットカードが使えなくなる
任意整理をすると、カード会社が行う審査に通らなくなります。
なぜなら、任意整理の事実が事故情報として信用情報機関に登録されるためです。
クレジットカード会社は定期的に与信審査を行い、契約者に返済能力があるかどうか調査するのですが、その際にカード会社は信用情報機関に問い合わせるため、事故情報があるとわかってしまいます。
その結果、支払い能力がないと判断されてカード審査に通らなくなってしまい、カードは解約されてしまいます。
もちろん、新しくカードを作ろうと思っても審査があるため、違う会社のカードを作り直すこともできません。
デメリット②:スマートフォンの分割購入ができない
実は、任意整理をするとスマートフォンの分割購入もできません。
なぜなら、分割購入の際にも審査があるからです。
この審査もクレジットカードの審査と同様に信用情報機関に問い合わせるため、事故情報があるとわかってしまいます。
もし任意整理中に購入したい場合は、一括購入をする必要があります。
デメリット③:借金の総額はあまり減らせない
任意整理をしても、借金の総額を大幅に減らすことはできません。
なぜなら、任意整理で減らせるのは借金の利息部分だけだからです。
例えば、1年あたりの利息が20%で100万円借りると、1年あたり20万円の利息です。
これを任意整理によって減らしたとしても、120万円が100万円に減るだけなので、借金が免除される自己破産のような大幅な減額はできません。
また、利息部分が全額ではなく一部だけカットされるケースもあります。さらにカットされる金額が少ないため、思うように借金額を減らせない可能性があります。
デメリット④:必ず任意整理ができるわけではない
任意整理は裁判所を通さずに債権者と任意で交渉して借金を減額してもらう方法です。
あくまでも任意での交渉であることから、中には交渉に応じてくれない債権者もいます。
特に、弁護士や司法書士に頼らずに自分一人で交渉するとなると任意整理の交渉が失敗する可能性が高まるでしょう。
なお、弁護士や司法書士を通じて交渉を行う場合、任意整理に応じてくれないケースはごく稀。
多くの貸金業者が高確率で任意整理に応じてくれますので、過剰に心配する必要はありません。
デメリット⑤:長期分割できないケースがある
任意整理で主な交渉のポイントとなるのは、長期での返済と利息部分のカットです。
通常3~5年かけて返済していきますが、中には短期での返済を求めてくる債権者もいます。
また、借りてから任意整理するまでの期間が短く、返済した回数も少ない場合は長期分割ができないケースもあります。
「借りている期間が何年くらいで、その間に何回返済したか」という基準は貸金業者によって異なるため、債権者に確認を取ってみましょう。
騙されないで!任意整理の誤解あるあるリスト
誤解①:任意整理は絶対に家族にバレない
「任意整理は家族にバレることはない」と説明しましたが、1つだけ例外のケースがあります。
それは、家族が保証人や連帯保証人になっている場合です。
なぜバレてしまうのかというと、債務者が支払えないと債権者は保証人や連帯保証人に対して支払うよう要求するからです。
ですので、どうしても家族に知られたくない場合は、家族が保証人や連帯保証人になっている債務は整理の対象から外しておく必要があります。
誤解②:任意整理をすると引っ越しができない
任意整理に居住地の制限はないため、手続き中でも引っ越すことができます。
住んでいる所が問題になるのは、自己破産をする場合です。
自己破産では、引っ越しはもちろん、旅行なども裁判所の許可がなければできません。
他に出張なども当てはまるため、行動がかなり制限されてしまいます。
一方、任意整理にこのような制限はありません。
そのため、手続き中でも引越しはできますし、旅行や出張も自由に行けるため、いつも通りの生活を送ることができます。
誤解③:任意整理をしたからもう安心!ということではない
もし手続きをした後にも返済を滞納してしまうと、最悪の場合一括で返済するよう求められます。
手続き後は通常3~5年かけて毎月コツコツ返済していきますが、2回以上(2か月分以上)支払いを滞らせてしまうと、一括での返済を請求されてしまうのです。
なぜなら、通常は期限の利益(期限日までに返済すれば良い権利)がありますが、2回以上滞納するとこの期限の利益を失ってしまうからです。
おわりに
今日紹介したように任意整理にはデメリットがあるのも事実だけど、それを許容できれば債務者にとってこれ以上にない嬉しい制度なのよ。
綿野コマ
法学部卒業後、司法書士事務所に4年間勤務。
司法書士補助者として法律に関わる業務経験を積んだ後にライターへ転身。
債務整理をはじめ、法律というあまり馴染みのないテーマの記事を「丁寧にわかりやすく」手がけている。
2級FP技能士の資格を取得済み。